私が長期事業計画書を作成する際に、一番最初に作るシートになります。
それでは見ていきましょう。
付加価値配分目標計画の様式
次のようなシートになります。

このシートの単位は、年間粗利益に対するパーセントになります。
例えば、年間粗利益が1億円で、労働配分(法定福利費込の人件費)が5,000万円の場合は、50%になります。
労働配分から蓄積配分を足すと100%になるように作成します。
付加価値配分目標計画の作成手順
次の流れで作成していきます。
- 直前3期から直前期を、実績から付加価値配分率を計算する。
- 直前3期から直前期の付加価値配分率を参考にして、初年度から5年度までの付加価値配分率を目標として仮に定める。
- この後は、このシートはいじらずにそれ以外にシートの作成を行う。
- 最後に貸借対照表まで作成できたら、最終の運営基本計画(損益計算書)から付加価値配分率を転記して完成させる。
直前3期から直前期の付加価値配分率を計算
このシートで最も重要な部分になります。
過去3年間の決算書の損益計算書から、配分実績を計算します。
これをすることで、自分の会社が人件費に粗利益の何%を使っているのか、経費が多いのか少ないのか、役員報酬をもらい過ぎていないか等が数字で簡単に理解できるようになります。
決算書の損益計算書を見ると、経費の科目が細かく掲載されていますが、社長が長期事業計画を作成する上では必要としません。
諸々の経費を全部ひっくるめて、一般経費とします。
その上で、粗利益の何%を占めるのかを計算していきます。
特別損益・配当金・役員賞与を計上していない会社は「0%」でOKです。
初年度から5年度までの付加価値配分率の目標
前項で計算した過去の付加価値配分率を参考に、今後5年間の付加価値配分率の目標を仮に決めます。
例えば、経費は一般的に少ない方が良いので、過去3年間の経費配分が25%程度で推移してきた場合、今後5年間で年1%ずつ下げて、5年後には20%を目指すなどです。
もう一つ例を挙げると、人件費も少ない方が良いので、粗利益は今後5年間で増やしていくが、労働配分率は下げていくなどです。
これは安い賃金で働かせるという意味ではなく、労働生産性を上げていると言うことに他なりません。
間違っていれば戻って修正すれば良いので、まずは社長の思いで付加価値配分率の目標を定めてみてください。
付加価値配分率の目標を定めたら、一旦このシートとはお別れで、別のシートの作成へと工程は移ります。
最終の付加価値配分率の目標を転記
貸借対照表の作成まで終わると、運営基本計画(損益計算書)も出来上がっているので、そこから初年度から5年度までの付加価値配分率の目標を転記して終了になります。
最初に仮に設定した付加価値配分率と、最終の付加価値配分率を比較してみてどうだったでしょうか?
ほとんど差がなかった方は、あらゆる経費に対して感覚的に理解できているのだと思います。
そうでなかった方も心配する必要はありません。
毎年この長期事業計画書を作成していると、必ず感覚的に身に付くようになります。
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