会社を経営していく上で、運転資金のための資金繰りは必須です。
売った物の代金回収はできるだけ早く、買った物の支払いはできるだけ遅くが原則になりますが、回収を急いでも、支払いを遅くしても相手に嫌われてしまいます。
ここでは、運転資金を見ていきます。
運転資金実績・計画の様式
様式はこちらになります。

運転資金実績・計画の作成手順
次の順番で作成していきます。
- 直前期の貸借対照表から、期末の売掛金・棚卸在庫・手元現預金・買掛金を転記します。
- 初年度から5年度の売掛債権を計算して記入
- 初年度から5年度の棚卸在庫を計算して記入
- 初年度から5年度の手元現預金を計算して記入
- 所要運転資金の増減計を計算して記入
- 初年度から5年度の買掛債務を計算して記入
- 差引所要運転資金を計算して記入
- 回転率ー支払率を計算して記入
工程は多いですが、悩むところは少ないので機械的に計算していってください。
直前期の貸借対照表から転記
直前期の貸借対照表に記載されている売掛金・棚卸在庫・手元現預金・買掛金を、シートの直前期の期末欄に記入するだけです。
直前期は、期末の数字だけ入っていれば問題ありません。
売掛金を計算
期首売掛債権=前期末の売掛債権になります。
当期売上高は、運営基本計画で考えた初年度から5年度の売上高を記入します。
回収対象額は、期首売掛債権+当期売上高を計算します。
当期回収率は、次を参考にして決めてください。
回収サイトが2ヶ月の場合は、85%
回収サイトが3ヶ月の場合は、80%
当期回収高は、回収対象額✕当期回収率で計算します。
期末売掛債権は、回収対象額ー当期回収高で計算します。
増減は、1つ前の期と当期の期末売掛債権の増減を計算します。
棚卸在庫の計算
期首在庫=前期末の在庫になります。
月間付加価値は、運営基本計画で考えた売上総利益÷12で計算します。
回転率は、期末在庫÷月間付加価値で計算するので、先に期末在庫を記入します。
期末在庫は、少な過ぎず、多過ぎずで社長の思いで決めてくだい。
増減は、1つ前の期と当期の期末在庫の増減を計算します。
手元現預金の計算
期首手元現預金=前期末の手元現預金になります。
平均日商高は、当期の売上高÷240(日)で計算します。
目標在高は、平均日商高✕10%で計算します。
期末手元現預金は、 社長の思いで決めますが、私は目標在高としています。
増減は、 1つ前の期と当期の期末手元現預金の増減を計算します。
所要運転資金の増減を計算
ここは、売掛債権・棚卸在庫・手元現預金の増減を全て足すだけです。
買掛債務を計算
期首買掛債務=前期末の買掛債務になります。
当期仕入高の売上原価は、運営基本計画で考えた売上原価を記入します。
当期仕入高の一般経費は、運営基本計画で考えた一般経費✕70%で計算します。
特別な支払いサイトの場合は、個別に設定してください。
当期仕入高の計は、売上原価+一般経費(70%)で計算します。
当期支払対象額は、期首買掛債務+当期仕入高の計で計算します。
当期支払率は、ほぼ翌月支払いが基本のため90%とします。
当期支払額は、当期支払対象額✕当期支払率で計算します。
期末買掛債務は、当期支払対象額ー当期支払額で計算します。
増減は、 1つ前の期と当期の期末買掛債務の増減を計算します。
差引所要運転資金を計算
所要運転資金の増減計ー調達運転資金の増減計で計算します。
回収率ー支払率を計算
売掛債権の当期回収率ー買掛債務の当期支払率を計算します。
運転資金実績・計画の完成
運転資金実績・計画は、運営基本計画から転記した売上高・売上総利益・売上原価・一般経費が変わらなければ、これで完成になります。
運営基本計画の数字が変わった場合は、このシートも計算し直す必要がありますが、私は運営基本計画をしっかり考えてから、このシートを作成するので、今まで計算し直すに至ったことはありません。
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