会社が生き残るためには障がい者雇用が必須になっていくことは、前回の記事で書きましたが、今回は障がい者雇用に関する助成金制度を調べたので、まとめておきます。
なお、この情報は令和3年7月1日現在かつ、中小企業向けになりますのでご了承願います。
障がいの種別
障がいと一言で言っても、様々な障がいがあります。
法律上、障がいの種別は、身体障がい・知的障がい・精神障がい・発達障がいの4つに分かれています。
更に身体障がい・知的障がいには、重度判定と言うものがあって、判定を受けると重度障がいと言うことになります。
まとめると、下記の6つの種別に分かれることになります。
2.身体障がい者+重度判定
3.知的障がい者
4.知的障がい者+重度判定
5.精神障がい者
6.発達障がい者
原則は身体・知的・精神のいずれかの障がい者手帳を持っていて、更に重度判定を受けているかどうかで区分が決まりますが、
発達障がいだけは、障がい者手帳が無くても、医師の診断書があれば、障がい者手帳保持者と同等の扱いを受けることができます。
雇用形態による種別
助成金を受ける上では、さらに雇用形態で種別が分かれます。
具体的には、次の通りです。
2.短時間労働者(雇用契約で週20時間以上30時間未満の労働契約を交わしている)
つまり、障がいの種別(6種)✕労働時間による種別(2種)の計12種に分類されることになります。
国(ハローワーク)の助成金
障がいの種別を踏まえた上で、国の助成金を見ていきましょう。
助成金の名称は、特定求職者雇用開発助成金と言います。
特定求職者雇用開発助成金 にはいくつかコースがありますが、障がい者雇用に関するコースは、特定就職困難者コースと発達障がい者・難病性疾患患者雇用開発コースになります。
詳細は、厚生労働省のホームページに掲載されていますが、わかりにくいので自分なりに表にまとめてみました。
障がい種別 | 労働時間 | 総支給額 | 助成対象期間 | 6ヶ月ごとの支給額 |
身体 | 週30時間以上 | 120万円 | 2年 | 30万円✕4回 |
〃 | 週20以上30時間未満 | 80万円 | 2年 | 20万円✕4回 |
身体+重度 | 週30時間以上 | 240万円 | 3年 | 40万円✕6回 |
〃 | 週20以上30時間未満 | 80万円 | 2年 | 20万円✕4回 |
知的 | 週30時間以上 | 120万円 | 2年 | 30万円✕4回 |
〃 | 週20以上30時間未満 | 80万円 | 2年 | 20万円✕4回 |
知的+重度 | 週30時間以上 | 240万円 | 3年 | 40万円✕6回 |
〃 | 週20以上30時間未満 | 80万円 | 2年 | 20万円✕4回 |
精神 | 週30時間以上 | 240万円 | 3年 | 40万円✕6回 |
〃 | 週20以上30時間未満 | 80万円 | 2年 | 20万円✕4回 |
発達 | 週30時間以上 | 120万円 | 2年(6ヶ月✕4回) | 30万円✕4回 |
〃 | 週20以上30時間未満 | 80万円 | 2年(6ヶ月✕4回) | 20万円✕4回 |
この表の見方は、障がい種別と労働時間から、表の右側を見ていくと助成金額・期間がわかるようになっています。
例えば、身体障がいで週30時間以上の場合は、6ヶ月ごとに30万円が計4回(2年間)で、合計の助成金額が120万円ということになります。
週30時間未満の短時間より、週30時間以上の方の助成金が大きいですし、更に重度障がいと精神障がいは助成金が大きくなっています。
つまり、厚生労働省としては、昨今、増加傾向にある重度障がい者と精神障がい者の方の受け皿を増やしたいのだと思います。
なお、助成金の支給要件が複雑になっているので、詳細は管轄のハローワークに問合せをしてみてください。
東京都の助成金
次は東京都の制度になります。
東京都以外の会社は対象になりませんが、道府県によっては同様の制度があるかもしれませんので、道府県庁に問い合わせしてみてください。
東京都は次の2つの助成金があります。
2.障がい者雇用支援助成金
詳細はリンクを見ていただきたいのですが、これらの制度も非常にわかりずらいので、自分なりに表にまとめてみました。
基本の区分は、国の特定求職者雇用開発助成金と同じで12種に分類されますし、重度障がいと精神障がいの助成金額が他と比べて手厚くなっています。
障がい種別 | 労働時間 | 安定雇用奨励金 | 雇用支援助成金 | 助成対象期間 | 6ヶ月ごとの支給額 |
身体 | 週30時間以上 | 150万円 | 108万円 | 3年 | 18万円✕6回 |
〃 | 週20以上30時間未満 | 150万円 | 108万円 | 3年 | 18万円✕6回 |
身体+重度 | 週30時間以上 | 180万円 | 180万円 | 3年 | 30万円✕6回 |
〃 | 週20以上30時間未満 | 180万円 | 108万円 | 3年 | 18万円✕6回 |
知的 | 週30時間以上 | 150万円 | 108万円 | 3年 | 18万円✕6回 |
〃 | 週20以上30時間未満 | 150万円 | 108万円 | 3年 | 18万円✕6回 |
知的+重度 | 週30時間以上 | 180万円 | 180万円 | 3年 | 30万円✕6回 |
〃 | 週20以上30時間未満 | 180万円 | 108万円 | 3年 | 18万円✕6回 |
精神 | 週30時間以上 | 180万円 | 180万円 | 3年 | 30万円✕6回 |
〃 | 週20以上30時間未満 | 180万円 | 108万円 | 3年 | 18万円✕6回 |
発達 | 週30時間以上 | 150万円 | 108万円 | 3年 | 18万円✕6回 |
〃 | 週20以上30時間未満 | 150万円 | 108万円 | 3年 | 18万円✕6回 |
この表の見方も、障がい種別と労働時間から、表の右側を見ていってください。
安定雇用奨励金は、雇用後6ヶ月を経過した時にもらえる助成金で一括でもらえる金額になります。
雇用支援助成金は、国の特定求職者雇用開発助成金を満額もらいきった後、追加で6ヶ月ごとに計6回の3年間もらえる金額になります。
つまり、国の助成金と合わせて計5~6年間、6ヶ月ごとに助成金がもらえることになります。
ただし、助成金の支給要件が国の基準より若干厳しくなっているところもあります。
全てを書き出すことが難しいため、重要なポイント3つだけを書き出してみます。
2.週20時間以上の無期雇用労働者として雇入していること。
3.最低雇用賃金✕105%以上の賃金を払っていること。
まとめ
これからの将来、会社が生き残っていくためには、障がい者雇用は必須だと考えています。
一方で、統合失調症や鬱病の精神障がい者の方や、自閉症スペクトラムやADHD(注意欠陥多動性障害)の発達障がい者の方が増加しているため、国を挙げて雇用対策に取り組んでいるので、これを活用しない手はありません。
私の会社では会社の存続を掛けて、この制度を上手に活用しながら、障がい者雇用に取り組んで行きます。
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