国税関係帳簿書類の保存は、これまでは紙文書での保存が義務付けられていましたが、2005年以降、電子化が推進され、ついに2022年1月施行の電子帳簿保存法の改正により、紙の領収書の電子化が簡単にできるようになります。
ですから領収書の保存は必要ですが、紙での保存が必要なくなるということです。
電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法の正式名称は「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」で、1998年に制定されました。
テクノロジーの進歩により、紙で文書を保存するよりも、保存場所、印刷の手間、ペーパレース等々の時代の流れに合わせて、電子化を促進して行こうという法律です。
2022年1月施行の改正のポイント
今までも領収書の電子化は認めらてはいましたが、非常に使いづらい制度となっていました。
実際、日本の企業約360万社の内、1割弱の企業しかこの制度を利用していませんでしたが、今回の改正で一気に電子化が加速するような内容になっています。
1.事前承認制度の廃止
今までも領収書の電子化は可能でした。
その場合、3ヶ月前までに税務署に申請書を提出して承認をもらう必要があり、準備期間も入れると最低でも6ヶ月程度の時間が必要でした。
今回の改正で、この承認申請が不要になったので、極端な話し「今日から始めるぞ!」と決めて行えば良いということになります。
2.タイムスタンプ要件の緩和
タイムスタンプとは、その書類がその時に存在したという電子的な時刻証明で、このタイムスタンプを書類に付与して、電子保存しておくことになります。
今までは、書類を受領してから3営業日以内に、このタイムスタンプを付与しなければいけませんでした。
中小企業の多くの方は、1ヶ月分まとめて伝票を整理するなんてことは当たり前で、とてもじゃないけど3営業日以内に処理するのは無理だったと思います。
この期間が大幅に緩和されて、2ヶ月+7営業日以内になりました。
つまり、1ヶ月と言わず、2ヶ月分まとめて処理することも可能になりました。
3.適正事務処理要件の廃止
今までは、不正防止のために内部統制として社内規定を整備して、処理する人、チェックする人など複数人体制で厳密に行う必要がありました。
このような体制を取ることは、中小企業では中々難しかった訳です。
ところが、この適正事務処理要件が廃止され、極端な話し1人でも行うことが可能になりました。
4.検索要件の緩和
今までは、電子化したデータを、取引年月日、勘定科目、取引金額やその帳簿の種類に応じた主要な記録項目を検索条件として設定できることが必須でした。
また、検索項目を2つ以上の組み合わせでできるようにすることも要件に含まれていました。
今回の改正では、検索要件が年月日・金額・取引先のみに限定され、複雑な検索システムが不要になりました。
改正法に対応するには
改正のポイントの1.事前承認と3.適正事務処理要件は廃止になるので、問題となるのは2.タイムスタンプと4.検索になります。
タイムスタンプと言うと難しそうですが、ほとんどのクラウド系の会計ソフトには標準で搭載されています。
代表的な会計ソフトである「弥生会計」「Freee」「マネーフォワード」のホームページを見てみましょう。
弥生会計
スキャナで取り込むと、タイムスタンプを付与してくれます。
Freee
こちらも同様にタイムスタンプを付与してくれます。
マネーフォワード
こちらも同じくアップロード時にタイムスタンプを付与してくれます。
検索要件についても、アップロード時に日付・金額・取引先の3項目を入力すれば良いので、問題ないですね。
つまり、手書きの台帳等では、できないので必ず会計ソフトの導入が必要になります。
私の会社の対応方針
私の会社では、弥生会計を使用しているので、タイムスタンプ機能は標準で付いています。
アップロード時の登録方法を確認してみて、実務上問題が無ければ、2022年1月以降の早い時期から領収書の保存を電子化していくつもりです。
詳細が不明な方は、顧問税理士に聞いてみると良いでしょう!
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